一言でまとめると
特に腎機能低下を伴っている場合には悪化すると命にもかかわる状態となる可能性もあるため、早急に医療機関に受診してください。特に持病のない方も医療機関での再検査や原因検索をお勧めします。
カリウムとは
成人の体内には約200gのカリウムが含まれています。そのほとんどは細胞内に存在し、細胞外液に含まれるナトリウムと相互作用することで、細胞の浸透圧の維持や、水分を保持する上で重要な機能を担っています。
カリウムの正常値について
カリウムの血中濃度の正常値は3.5~5.0mEq/Lであり、5.5mEq/L以上になると高カリウム血症と診断されます。
カリウムが高いとどうなる?
カリウム値が少し高いだけなら、症状が出ないことも珍しくありません。
しかし、カリウムの値が極端に高くなると、吐き気や脱力感(体に力が入らない感じ)、不整脈(脈拍のリズムが不規則になる状態)などの症状が現れることがあります。また、自覚症状がなくても治療が必要な場合もあります。
カリウムが高くなる原因
カリウムを多く摂取しても、腎臓の機能が正常に働いていて極端に摂取しすぎなければ、体内の調整機能によりカリウム過剰になることは少ないと言われています。
ただし、腎機能が低下している場合であれば注意する必要があります。
摂取したカリウムのほとんどは尿中に排出されますが、腎機能が低下していると、カリウムがうまく排出されず、血液中のカリウムの量が増えてしまいます。その結果、高カリウム血症を引き起こすことがあります。
カリウムが高くなる病気
高カリウム血症
腎機能の低下や脱水などにより、通常であれば尿として体外に排出されるカリウムが体内に蓄積することで起こります。不整脈、筋力低下、感覚障害などの症状を検査することで発見されることが一般的ですが、自覚症状のない場合もあります。重症化すると血液透析が必要になる場合もあるため、早期に適切な治療を受ける必要があります。
血液中のカリウム濃度の正常値は3.5mmol/L~5.0mmol/Lで、この基準値を超えると高カリウム血症と診断されます。カリウムは体内で、細胞の浸透圧を維持したり、神経インパルスを伝達したり、心臓や筋肉の機能を調節したりしています。また、ナトリウムイオンを尿中に排泄して高血圧を予防する作用もあります。
高カリウム血症の原因
摂取量過多
ほうれん草、にんじん、バナナなどの野菜や果物、また一部の生魚にはカリウムが多く含まれており、これらの食品を過剰に摂取すると高カリウム血症を引き起こす可能性があります。
薬剤の副作用
一部の血圧降下剤(ACE阻害薬、ARB阻害薬)、非ステロイド系抗炎症薬、一部の漢方薬を過剰に摂取すると、カリウム濃度が上がる場合があります。
排泄障害
高カリウム血症の最も一般的な原因は腎不全です。腎臓のカリウム排泄能力が低下すると、カリウム値が上昇することがよくあります。腎不全の場合、カリウム値に基づいて血液透析の導入が検討されます。
その他の要因
・脱水
カリウムの値は血液中の濃度で決まるため、適量摂取していても、脱水などにより血液が濃縮されると高くなります。環境などの要因による水分の喪失や、水分摂取不足でも高くなります。
・クラッシュシンドローム(圧挫症候群)
体内の細胞、特に筋肉組織には多くのカリウムが含まれています。災害や事故でがれきの下敷きになり、その際に細胞が破壊され、その後の救助によって圧力から解放されると、カリウムが過剰に血液中に流れ込み、カリウムの濃度が上昇します。
・不適切な採血手順
採血がスムーズに進まず、強い吸引圧をかけて採血した場合、採取した検体のカリウム値が高くなることがあります。ただし、この場合は病的な意味はないため、再検査することで問題は解決します。
高カリウム血症の症状
軽症の場合は症状が現れないこともありますが、カリウム値が高い状態が続くと、吐き気、手足の重だるい感じ、脱力感、しびれ、動悸、不整脈、全身の倦怠感などの症状が現れることがあります。
さらに症状が進むと心停止などの生命の危険もあるため、十分注意して経過観察する必要があります。
高カリウム血症の治療
高カリウム血症の治療では一般的に、まず問診により糖尿病などの腎機能障害の原因となる病気の有無、生活習慣、最近の体調などを確認した上で、検査を開始します。
検査では血液検査、心電図検査、レントゲン検査などを行います。
高カリウム血症の治療は、カリウム値を正常範囲に戻すことが目標となります。
そのためには、まずカリウムを多く含む食品の摂り過ぎに注意して食事内容を調整します。それでも改善が見られない場合は、カリウムを尿中に排泄させる利尿薬、細胞内に吸収させる炭酸水素ナトリウム、腸管への吸収を防ぐイオン交換樹脂などを服用する治療が行われることもあります。
血中濃度が7.0mmol/Lを超える場合には、大量輸液、インスリンを併用したブドウ糖液の点滴静注、重症例では血液透析を行うこともあります。
カリウム摂取を
避けたいときの工夫
調理法をひと工夫することで、摂取するカリウムの量を減らすことに繋がります。
具体的には、以下の方法がお勧めです。
茹でて茹で汁を捨てる
(茹でこぼし)
食材をたっぷりのお湯でしっかり茹でると、カリウムは水に流れ出ていきます。茹でた後には茹で汁を捨て、食べる際には十分に水気を切って食べましょう。
刻んで水にさらす
野菜を細かく刻むと、切り口からカリウムが出やすくなります。きゅうりは輪切り、その他の野菜はせん切りやみじん切りにして水にさらすと、カリウムを減らすことができます。この場合、流水にさらしたり、何度か水を交換したりすると効果的です。大根おろしは軽く水気を切ると、水に溶け出したカリウムを減らすことができます。缶詰の場合、汁やシロップにはカリウムが溶け出しているので摂取を避けましょう。