ペースメーカー外来

ペースメーカー外来について

徐脈性不整脈(洞不全症候群、房室ブロック、徐脈性心房細動など、脈が遅くなるタイプの不整脈)の治療のために人工ペースメーカーを植え込んだ患者さんは、

  • ペースメーカーがしっかり働いているか?
  • 電池はあと何年もつのか?

など定期的にチェックをしなければいけません。ごくまれにリード(銅線)が切れたりするトラブルも起こり得ます。
ペースメーカーの定期的なチェックは、特殊な機械を使って、循環器専門医のもとでチェックを行う必要がありますので、どこの病院でも施行できるわけではありません。
ペースメーカーは、体外から専用の機械を当てるだけで、さまざまな情報を読み取ることができます。読み取った情報に基づき、適宜ペースメーカーの設定を微調整し、最適化も行います。
定期的な検査の他、めまいや動悸など気になる症状がある場合にもペースメーカー外来での検査をお勧めします。

※ご来院の際には「ペースメーカー手帳」を忘れずにお持ちください。検査内容についてはペースメーカー手帳に記載していきます。当院では植込み手術は行っていませんが、他院でペースメーカーを植込まれた方の外来フォローに対応しています。
※現時点では埋め込み型除細動器(ICD)/両心室ペーシング機能付きペースメーカー(CRT)/リードレスペースメーカーなどの特殊なデバイスのチェックは対応しておりません。

当院のペースメーカー外来の特徴

日本ではペースメーカー外来を設けている医療機関が少ないため、患者さんはかかりつけ医療機関とは別に医療機関に受診してペースメーカーチェックを行いますが、当院では、ペースメーカーの定期点検と診察や処方箋発行を同日に行うことが可能です。
ペースメーカー外来をご利用になる場合は予約が必要です。また、ご来院の際には、検査内容や病気の経過を記録したペースメーカー手帳を忘れずにお持ちください。
別の都道府県でペースメーカー治療された方の継続診療もお引き受けします。
ご不明な点がありましたら、お電話にてお気軽にお問い合わせください。

ペースメーカー外来をご予約される方へ

事前予約制となっていますので前もって受付もしくはお電話にて予約をお取りください。その際に、以下の内容を把握したうえでご予約いただけますとスムーズです。

  • どこのメーカー(会社)のペースメーカーか?
  • 埋め込み型除細動器(ICD)/両心室ペーシング機能付きペースメーカー(CRT)/リードレスペースメーカーなどの特殊なペースメーカーでないこと
  • 遠隔モニタリングは使用しているかどうか?
  • 埋め込み施設(病院)はどこか?

→電話にて説明困難でしたら、一度直接来院いただき、ペースメーカー手帳を確認させていただくのが確実です。

ペースメーカー治療の対象となる方

下記の心臓植込みデバイス機器が体内に植込まれている(移植された)患者さんがペースメーカー治療の対象となります。

  • ペースメーカー

※下記のデバイスは現在のところ当院では検査対象外となりますのでご了承ください。

  • 植込み型除細動器(ICD)
  • 両心室ペースメーカー(CRT‐P)
  • 両心室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT‐D)
  • 植込み型心臓モニター(ICM)
  • リードレスペースメーカー(Micraなど)

対応しているペースメーカー

  • 日本メドトロニック
  • 日本ライフライン
  • ボストン
  • セント・ジュード・メディカル
  • アボット
  • バイオトロニック

徐脈性不整脈

徐脈性不整脈は、脳や全身の臓器に送られる血液量が減る病気で、息切れ、めまい、突然の視野喪失や意識障害などの症状に繋がります。
徐脈は、加齢や動脈硬化が進んだ方に起こりやすいと言われています。さらに虚血性心疾患、高血圧、先天性心疾患、心筋症なども原因として考えられます。
その他、慢性腎不全によって引き起こされる電解質異常や甲状腺の病気もあります。向精神薬や高血圧治療薬などの薬も、徐脈の原因となることがあります。
徐脈性不整脈は、生命の危険を及ぼすことはほとんどなく、重篤な症状がなければ、経過観察を続けることをお勧めします。しかし、次のような場合には、ペースメーカー治療を考慮する必要があります。

ペースメーカー治療が検討される症状

  • 息切れや疲れやすいなどの症状が強く、日常生活にも影響を及ぼす場合
  • 徐脈性不整脈により失神が起こり、重大な傷害や事故に繋がる可能性がある場合

徐脈により心不全を発症したり、悪化したりしている場合などは、ペースメーカー治療を検討する必要があります。

ペースメーカーの生活で注意すること

食事

食生活に制限は特にありません。
暴飲暴食や過食は避け、糖分の取り過ぎにも注意してください。

旅行

旅行に際しての制限はありません。
ただし、空港の金属探知機に反応する可能性があるので、ペースメーカー手帳を係員に見せるか、その旨を伝えてください。

ペースメーカー植込み部の清潔さ

清潔に保つように心がけてください。ただし、強く擦りすぎないようにしてください。

仕事

電気機器の多い環境や力仕事に従事する場合は、医師にご相談ください。

電化製品

漏電している電気器具には絶対に触れないでください。
感電により、ペースメーカーが故障や誤作動を起こすことがあるため、必ずアースを取り付けて使用してください。

場所

強力な電磁波が発生する場所には近寄らないでください。
発電施設、レーダー基地、各種溶接機、誘導型溶鉱炉、強力な電磁波を発生する機器などには近づくことはできません。めまい、立ちくらみ、動悸などの身体異常を感じた場合は、すぐにその場を離れてください。

健康用品

電気を体に通すものは使用しないでください。
低周波治療器、高周波治療器、電気風呂、肩こり治療器、医療用電気治療器などは使用できません。

電気機器の修理

電気器具の修理は慎重に行ってください。
感電の危険性がありますので、十分注意して取り扱ってください。

運動

腕を激しく動かす運動や作業を行う場合は、事前に医師にご相談ください。
ロープを使用する登山や、ぶら下がり健康器の使用は避けてください。運動や作業の種類によっては、リード線が損傷する恐れがあります。
植込み手術後3ヶ月間は、激しい運動を避けてください。また、激しいスポーツを行う場合は事前に医師に相談してください。

磁気類

ペースメーカーやICDなどに磁気類を近づけないでください。

圧迫

ペースメーカーや植込み型ICDに圧力をかけないでください。腹部にペースメーカーや植込み型ICDを入れている場合、バーなどにぶら下がるとリード線が損傷する恐れがあります。また、シートベルトなどにより圧迫されないように、胸部の植込み部位をタオルなどで保護してください。

作業

非常に重いものを腕に抱えて運ぶことは避けてください。

運転

運転については医師と相談してください。
ペースメーカーまたは植込み型除細動器(ICD)使用者の運転に関する制限事項については、平成14年(2002年)5月16日付、警察庁交通局運転免許課より通達の「運転免許の欠格事由の見直し等に関する運用上の留意事項等について」に示されています。

詳細について

IH調理器

IH調理器やIH炊飯器を使用する際は、ペースメーカーやICDから離れてください。
ペースメーカーやICDをIH調理器などの近くに置かないでください。

盗難防止装置

図書館や書店、家電量販店などの出入口に、盗難防止装置(EAS:電子商品監視)が設置されていることがありますが、立ち止まらずに通り過ぎましょう。
目立たないように設置されている場合も多いため注意してください。

作動中のエンジン

バイク、スノーモービル、モーターボート、ポータブル発電機、草刈り機、耕運機などを操作・運転する際は、むき出しのエンジンに近づかないようにしましょう。

改札

SUICAやICOCAなどの交通系ICカードは、読み取り機から12cm以上離して使用してください。

家庭用電動工具

ペースメーカーや植込み型除細動器(ICD)などの動作に影響を与え、体に異常(めまい、ふらつき、動悸など)を引き起こす可能性があります。

電気自動車

電気自動車の急速充電器は使用しないでください。急速充電器が設置されている場所には、できるだけ近づかないでください。誤って近づいてしまった場合は、すぐにその場を離れてください。普通充電の場合は、充電スタンドや充電ケーブルに近づきすぎないようにしてください。

医療機関での検査について

MRIは磁気を用いた検査のためペースメーカー埋め込みをされている方は原則検査できません。
近年使用されるペースメーカーの大半はMRI検査対応のペースメーカーですが、どこの医療機関でもMRIができるわけではありません。詳しくは医師までご相談ください。
血液検査やレントゲン、心電図、CT検査などにつきましては問題なく検査することができます。