- インフルエンザとは
- インフルエンザの原因
- インフルエンザの症状
- インフルエンザの検査
- インフルエンザと風邪の違い
- インフルエンザが重症化しやすい方
- インフルエンザの治療薬
- インフルエンザ予防接種について
インフルエンザとは
いわゆる「インフルエンザ」は、インフルエンザウイルスが病原で起こる感染症です。風邪と同様に咳やのどの痛み、関節痛、倦怠感、鼻水などの症状も現れますが、一般的には、高熱(38℃以上)、頭痛、筋肉痛、倦怠感、悪寒などの全身症状が強く現れる傾向があります。感染力が強いため、お子さまが感染した場合は、幼稚園や学校への登園・登校を禁止される期間があることをご留意ください。特にご高齢者や、病気などで抵抗力が弱まっている方は重症化しやすく、肺炎に繋がる可能性もあります。
うがい・手洗いの予防対策に加え、毎年10月頃から始まる予防接種も有効です。
当院ではインフルエンザ抗原検査を行うことができ、10-15分程度で結果が分かります。
インフルエンザA型
A型とは、発熱、悪寒、のどの痛みといったインフルエンザの症状が強く現れやすいタイプです。このタイプのもう一つの特徴は、毎年ウイルスの型が変化することです。
通常、一度ウイルスに感染すると、その病気をもたらす抗原(ウイルス)と戦う抗体が体内で生成され、同じ抗原が再び体内に入ったときに抗体が感染を予防します。しかし、インフルエンザA型は急速に型が変化するため、一度体内で生成された抗体が効かなくなり、再び感染してしまう場合があります。
インフルエンザB型
近年猛威を振るっているウイルスです。しかし、A型ほど変異はしないのが特徴です。
インフルエンザの原因
インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって起こる呼吸器感染症です。毎年12月~3月にかけて流行のピークを迎えます。感染力が非常に強く、感染者の咳やくしゃみなどに含まれる粘液の飛沫を吸い込むことによって感染します。また、ウイルスが付着したものに触れ、その手で口や鼻の粘膜に触れることでも感染します。
インフルエンザの症状
潜伏期間(1~3日)の後、突然の頭痛、38℃以上の発熱、全身の倦怠感、筋肉や関節の痛みが現れ、その後、咳や鼻汁などの上気道炎症状が現れるのが一般的です。
また、高齢者の場合は肺炎や気管支炎を併発しやすく、お子さまでは中耳炎や気管支喘息を併発することもあります。
インフルエンザの疑いがある症状が見られた場合は、早めに当院へご相談ください。
インフルエンザかも!?
受診した方が良い症状
大人の方の場合
- 息苦しい
- 呼吸するのが辛い
- 下痢や嘔吐が止まらず、長引いている
- 38℃以上の発熱が、3日以上続いている
- 関節痛や筋肉痛がある
- 胸が痛む
- 症状が改善しないどころか、悪化している
インフルエンザの検査
インフルエンザの疑いがある症状(高熱など)が見られる場合は検査を行います。
細長い綿棒を鼻の穴に入れて粘液を採取し、簡易検査キットでウイルスの有無を調べます。検査結果は10~15分で確認できます。
ただし、発熱から12~24時間経過しないと検査結果が正確に出ない場合もあります。
そのため、症状からインフルエンザを疑う場合は、検査結果が陰性であっても、インフルエンザの治療を受けて頂く場合もございます。
なお、当院では抗原検査は保険診療で行っており、検査料金は3割負担の方では1300円程度です。基本的には月に1回までしか検査ができませんのでご了承ください。また、まったく無症状の方に対する検査はしておりません。
インフルエンザと風邪の違い
一般的に風邪は、さまざまなウイルスによって起こる病気と考えられています。
症状は主にのどの痛み、鼻水、くしゃみ、咳などで、強い全身症状は起こりません。
熱もインフルエンザほど高くなく、重症化することもあまりありません。
一方、インフルエンザはインフルエンザウイルスに感染して起こる病気です。
症状は、のどの痛み、鼻水、咳などで風邪と似ていますが、比較的急速に高熱(38℃以上)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛などが現れるのが特徴です。
また、お子さまでは急性脳症、高齢者や免疫力が低下している方は肺炎などを併発し重症化する場合もあります。
インフルエンザ | 風邪 | |
---|---|---|
発病 | 急激 | 緩やかゆるやか |
発熱 | 通常38度以上の熱 | ないか、あっても高熱は少ない |
強い全身症状 | ある | ないか、あってもおおむね軽度 |
上気道炎症状 | 全身症状に続いて出現が多い | 最初からみられる |
咳 | 強いことが多い | 軽いことが多い |
インフルエンザが
重症化しやすい方
以下の方は、インフルエンザに感染した場合、重症化しやすいと言われるハイリスクグループに該当します。
インフルエンザが
重症化しやすい持病
- 呼吸器系(喘息・慢性肺疾患)
- 循環器系(心不全、心筋梗塞後)
- 血液疾患
- 肝臓・腎臓病
- 代謝障害(糖尿病やミトコンドリア病など)
- 神経学的疾患、神経発達障害
インフルエンザが
重症化しやすい方
- 65歳以上の方
- 介護施設に入居している方
- 5歳未満のお子さま(特に2歳未満)
- 妊娠中の方、または最近出産された方
- アスピリンを服用している方
- 肥満の方
インフルエンザの治療薬
インフルエンザの最近の株に対しては、いくつかの有効な抗ウイルス薬が開発されています。しかし、これらの抗ウイルス薬は、体内でウイルスが増殖してから48時間以内に服用した場合にのみ有効です。ご高齢者や慢性疾患のある方、お子さまなど重症化しやすい方は、インフルエンザが疑われる場合にはできるだけ早く受診してください。
治療薬の種類
各種の抗ウイルス薬には、それに伴うそれぞれの利点と欠点があります。
服用方法の概要については、下記をご参照ください。
タミフル(おすすめ)
内服薬のタミフルは、1日2回、5日間にわたって服用する必要があります。
このタイプの抗ウイルス薬の中で最も使用実績があり、お子さまの使用に関する知見も豊富なインフルエンザ治療薬です。生後2週以降、体重2.5kg以上であれば処方可能です。
5日間服用する必要があるので、飲み忘れには注意が必要です。
異常行動が話題になった時期もありましたが、投薬との直接的な関連性はないことが確認されました。インフルエンザに罹患すること自体が高熱や脱水症状により精神症状(熱せん妄)を起こしやすいことが明らかになっています。
それでもご心配であれば、10代の方にはタミフルを処方しないこともあります。
ゾフルーザ
内服薬のゾフルーザは、1回の服用で治療が完了します。
経口薬の中では最も新しく、即効性があると言われています。
一時期、20%程度の患者さんに耐性菌が確認された時期がありましたが、その後の調査では、臨床的に十分有効であることが確認されています。お子さま(特に6歳未満)に対しては安全性が確立されていないことから小児科学会からは積極的には推奨していません。
リレンザ
吸入薬のリレンザは1日2回、5日間にわたって吸入する必要があります。
インフルエンザウイルスの主な感染部位である気道に直接薬剤が作用するため、全身性の副作用が起こりにくく、ウイルス耐性が出現しにくいと考えられています。
タミフルと同様に5日間吸入する必要があるため吸入し忘れに注意が必要で、使用方法が面倒なため自己判断で中断してしまい、効果が薄れてしまう方が多いようです。
イナビルが登場してからは、この薬が処方されることはほとんどなくなりました。
イナビル(おすすめ)
吸入薬のイナビルは、1回の吸入で治療が完了します。
リレンザと同様に感染の主な場所である気道に直接作用するため、全身性の副作用が起こりにくく、またウイルスが耐性化しにくいと考えられています。
欠点としては、吸入が若干難しく指導が必要なため、ご自身で薬を服用できない小さなお子さまには不向き(小学生以上の方ならほぼ問題なくできると思います)という点が挙げられます。
ラピアクタ
静脈注射薬のラピアクタは、1日1回、毎日の連続投与が必要です。
主に重症の入院患者さんに使用されることが多いため、一般の方が使用することはほぼありません。注射薬であるため、ご自宅での自己投与はできません。
薬剤名 |
タミフル |
ゾフルーザ |
リレンザ |
イナビル |
ラピアクタ |
---|---|---|---|---|---|
投与方法 |
内服薬 |
内服薬 |
吸入薬 |
吸入薬 |
静脈注射薬 |
期間・回数 |
1日2回、5日間 |
1回で完了 |
1日2回、5日間 |
1回で完了 |
1日1回、連日投与 |
メリット |
使用実績が多い、安価 |
治療が1回で完結、即効性 |
副作用や耐性が少ない |
副作用や耐性が少ない 治療が1回で完結 |
重症な入院患者などに使用 |
デメリット |
5日間で飲み忘れの可能性 |
耐性菌の可能性 |
5日間で自己中断、操作が煩雑 |
服薬指導が必須 |
自宅で自己投与できない |
予防投与 |
1日1回、7-10日間 |
1回 |
1日1回、7-10日間 |
1日1本、2日間 |
― |
インフルエンザ
予防接種について
人から人へ感染するインフルエンザには、A型、B型、C型の3種類があります。さらに毎年、少しずつ変異した新型のウイルスが現れます。そのため、世界的に権威のある多くの研究機関が、毎年どの型が流行するかを予測し、それに応じたワクチンを製造しています。予測通りのワクチンを接種することで感染を予防し、感染した場合にも重症化を抑える効果が期待できます。
インフルエンザ予防接種の
接種時期は?
インフルエンザワクチンの効果は、接種後約2週間で現れ始め、その後約5ヶ月間持続します。インフルエンザの流行は12月に始まり、1月にピークを迎え、3月頃まで続くとされています。したがって、11月中旬~12月初旬にインフルエンザワクチンを接種すれば、インフルエンザの流行シーズンに備えることができます。
インフルエンザ予防接種の
費用(税込)
対象 |
費用(1回接種あたり) |
---|---|
お子さま(2回接種) |
4000円(昨年参考料金) |
成人(1回接種) |
※2025年秋のシーズンに費用につきましては確定した段階でお知らせします。