トイレが近いお悩みは
ありませんか?
- 排尿困難、尿量が少ない
- 排尿に力が必要
- あまり水分をとっていない場合でも、頻尿になる
- 尿が残っている感じ
- 尿漏れ
- 排尿時の痛み
- 夜間に何度も尿意を催してトイレに行く
- 急に尿意を催してトイレに駆け込むことがある
これらの症状に心当たりがある方は、頻尿や夜間頻尿の可能性がありますので、当院への受診をお勧めします。
やたらトイレが近いのは病気?
「トイレが近い」とは、尿の回数が多い、頻尿の症状を指します。さまざまな病気の可能性の他、心理的な要因やストレス、生活習慣によって尿の回数が増えることがあります。原因となる主な病気としては、膀胱炎、尿路結石、過活動膀胱、前立腺肥大、糖尿病、心不全などが挙げられます。
トイレに行ってすぐトイレに
行きたくなるのは病気?
すぐにトイレに行きたくなったり、尿の回数が増えたりする場合は頻尿の可能性が高いと言えます。
頻尿とは
(1日にトイレ何回以上で
頻尿?)
頻尿とは、尿意を頻繁に感じる、排尿回数が多い状態を指します。一般的には、朝起きてから夜寝るまでに8回以上排尿すると頻尿と言われています。ただし、1日に何回排尿するかは個人差があるので、何回以上で異常だと一概に言えるわけではありません。1日8回以下でも排尿回数が多いと感じる場合は、頻尿と定義されます。
頻尿の原因
過活動膀胱
膀胱に尿がなくても勝手に膀胱が収縮し、突然強い尿意(尿意切迫感)を我慢できなくなる病気です。突然の尿意、トイレに何度も行く、間に合わず漏れてしまう(切迫性尿失禁)などもあります。日本では1,000万人以上の罹患者がいます。
原因には、脳卒中など脳や脊髄の病気、前立腺肥大症による排尿障害、加齢による老化が挙げられますが、明確な基礎疾患がない場合もあります。1回の排尿量は少なく、何回もトイレに行くのが特徴です。
残尿量の増加
残尿とは、排尿後も膀胱内に尿が残った状態です。前立腺肥大症などによる排尿障害が進行することで起こる他、糖尿病や腰椎椎間板ヘルニア、子宮がんや直腸がんの手術に伴い、膀胱を収縮させる神経が障害されることでも発生します。この結果、膀胱が十分に収縮できず、尿を完全に排出できなくなります。膀胱内に尿が残ると、蓄尿スペースが減少し、一度に排出できる量が少なくなるため、頻繁にトイレに行きたくなる傾向があります。
多尿
1日に排出される尿量が著しく増える状態を多尿と言います。膀胱や尿道に問題がなくても、糖尿病などの内分泌疾患や過剰な水分摂取、利尿剤の服用などが原因で起こります。この場合、1回に排出される尿量は正常(150~200ml以上)ですが、それでもトイレに何度も行きたくなります。
尿路感染症・炎症
膀胱炎や前立腺炎などの尿路感染症は、膀胱の知覚神経を刺激し、頻尿を引き起こす可能性があります。間質性膀胱炎は、膀胱の慢性炎症、頻尿、膀胱がいっぱいになったときの下腹部痛を特徴とする原因不明の病気です。
腫瘍(膀胱がん)
膀胱がんのおもな症状は血尿ですが、まれに頻尿が膀胱がんによる膀胱刺激症状として現れることがあります。
心不全・高血圧
心不全や高血圧の主な症状ではありませんが、日中は腎血流低下などで十分に尿量が確保できず、夜間に臥床により腎血流増加をきたし、尿量が増加し夜間頻尿をきたすことがあります。夜間頻尿が夜間高血圧(Riser)や心不全の初期症状として出現することもあるため、特に息切れや足のむくみも合併している方はぜひ当院までご相談ください。
心因性
心因性頻尿とは、膀胱や尿道に異常はなく尿量も正常でありながら、トイレに行くことを気にしてしまい、何度となくトイレに行ってしまう状態を指します。心因性であるため、夜寝てしまえば排尿の心配はなくなり夜間頻尿は起こらず、朝起きた時の尿量は通常の量です。
頻尿の治療
原疾患の精査・治療
上記のように頻尿の背景には膀胱炎・尿路感染症や尿路結石症、前立腺肥大、膀胱がん、心不全、高血圧などが隠れている可能性もあります。まず治療ではなく、当院では血液検査・尿検査やほかに必要に応じて超音波検査(腹部・心臓)・レントゲン検査などを提案して、できる限り頻尿の原因となる疾患を特定していきます。原因疾患を特定してから、それぞれの疾患ごとに患者様と治療方針を相談し決定していきます。
行動療法
生活習慣の改善は、頻尿の治療において非常に重要な要素です。生活習慣を見直すことで、頻尿の症状が改善するだけでなく、再発を防ぐこともできます。
以下に、頻尿を改善するための生活習慣の改善方法をご紹介します。
水分摂取量を調整する
必要以上の水分摂取は尿量を増やし、頻尿を悪化させます。特に、就寝前の水分摂取はなるべく控えてください。
カフェインやアルコールを控える
利尿作用のあるカフェインやアルコールは頻尿を助長する可能性があります。
コーヒー、紅茶、緑茶、チョコレート、エナジードリンクなど、カフェインを含む飲料や、お酒はできるだけ摂取しないようにしてください。
膀胱訓練を行う
膀胱訓練とは、膀胱の蓄尿量を増やし、排尿間隔を延ばすためのトレーニングです。トイレに行きたいと感じた時に我慢する訓練を繰り返すことで、膀胱の筋肉を鍛え、排尿間隔の改善を目指します。
骨盤底筋を鍛える
骨盤底筋は膀胱と尿道を支える筋肉です。骨盤底筋を鍛えることで尿道を収縮させる筋肉が強くなり、頻尿や尿失禁の改善に効果が期待できます。
ストレスを軽減する
ストレスも、頻尿に悪影響を与えることがあります。ストレスを解消し、心身ともにリラックスする方法を見つけましょう。
薬物療法
薬物療法では、膀胱の筋肉の収縮を抑え、尿意を感じにくくする薬を用います。頻尿の原因や症状に応じて適切な薬が処方されます。
- 抗コリン薬
- β3受容体作動薬
- α1遮断薬(男性の前立腺肥大がによる場合)
薬物療法は主に、膀胱のムスカリン受容体に作用して異常な膀胱収縮を抑制する抗コリン薬と、膀胱のβ受容体に作用して膀胱が充満し始めた際に膀胱が弛緩しやすくなるβ3受容体刺激薬の2種類が中心となっています。
ただし、抗コリン薬には、時に眠気や口渇などの副作用が現れることがあります。
夜間多尿
夜間多尿とは、夜間に1回以上排尿のために起きなければならない状態です。頻度は加齢とともに増加し、日常生活に大きく支障をきたす症状です。
夜間多尿の原因
夜間多尿の主な原因は3つあります。
- 夜間に生成される尿の量が増えること(夜間多尿)
- 1度に排泄される尿の量が減ること(機能的膀胱容量の減少)
- 眠りが浅いので尿意を感じやすいこと(睡眠障害)
です。これらは全て加齢によって悪化します。
夜間多尿の治療
夜間多尿の治療は原因によって異なり、それぞれの原因に適した治療が必要になります。まずは原因を突き止め、治療や改善できることから行うのが現実的です。原因を特定するためには排尿日記が大変有用です。
飲水指導(飲水制限)
夜間多尿の原因が過剰な水分摂取にある場合、飲み過ぎないように、飲む量や飲むタイミングを指導する飲水指導を行います。特に、水を飲む時間帯が重要です。
食事指導
最近の研究では、1日の食塩摂取量の推定値と、1日を通しての排尿回数や尿量との関係が明らかになってきており、特に夜間頻尿の場合にその傾向が強いことが分かってきました。そのため、塩分摂取過剰な方には適切な食塩摂取量について指導を行います。
コーヒーやお茶に含まれるカフェインには利尿作用があるため、夜間多尿を引き起こしやすくなります。また、お酒を飲むと尿を出さないように予防するホルモンの分泌が抑えられ、尿量が増えます。寝る前の飲酒は控えましょう。同時に、食事指導を通じて、食事や水分の摂り過ぎによる夜間多尿への影響も緩和します。
行動療法
日中飲んだ水分は、重力の影響で足をむくませます。このむくみを解消しないまま就寝すると、余分な水分が夜間尿として排泄され、夜間頻尿に繋がります。そこで生活指導として、散歩などをして下肢を動かすことや昼寝などもお勧めします。
自分でできる夜間多尿対策
- 夕方以降のカフェイン摂取を控える
- 就寝前の飲酒を控える
- 足のマッサージなどストレッチを就寝前に行う
- 運動不足を解消する、長時間の昼寝を避ける
薬物療法
膀胱畜尿障害では、原因が過活動膀胱であれば過活動膀胱の経口治療薬(抗コリン剤)が有効であり、原因が前立腺肥大症であれば前立腺肥大症の経口治療薬が有効です。原因が睡眠障害であれば睡眠薬による治療が行われることもあります。尿量を減らす薬もありますが、生理学的治療よりも、前述の飲水・食事指導が優先されます。