心電図異常を指摘された

心電図検査とは

心電図検査とは心臓の電気的活動を調べる上で、最も基本的な検査が心電図検査です。心臓は収縮と拡張をポンプのように繰り返して拍動し、この動きによって全身に血液を送り出しています。この動きを心拍と呼びます。
規則正しいリズムで発生する電気信号が心筋(心臓の筋肉)に伝わり、心臓全体を刺激すると心臓が拍動します。心電図検査は、心臓の電気的活動を波形として記録する検査です。心電図の種類は多岐にわたりますが、最も一般的なのは安静時心電図で、ベッドに仰向けに寝た状態で行います。電極を胸部、両腕、両足に取り付け、記録された波形を正常な波形と比較して異常の有無を判断する検査です。健康診断で心電図検査を受けて異常が指摘された場合、結果報告書にはどのような異常が見つかったかが説明されます。しかし、波形に異常が認められたとしても、必ずしも心臓に問題があるとは限りません。健康な方でも正常とは異なる波形を示すことはよくあるためです。異常が指摘された場合は、検査結果の判定区分を確認し、精密検査が必要かどうかを医師に相談しましょう。


心電図検査異常で、
どんな病気が分かる?

不整脈

脈の緩急やリズムが不規則になる状態が不整脈です。脈拍が毎分50以下で徐脈、100以上で頻脈と呼びます。不整脈には病気が原因のものと、生理的なものがあります。運動などによる頻脈は生理的な現象です。また、脈が不規則になる期外収縮は、30歳以上のほとんどの方に見られ、加齢とともに増加します。少数の期外収縮は生理的とされますが、期外収縮が極端に増えたり、脈拍が毎分40以下になると、徐脈による息切れやめまいが現れます。一方、特に原因がなく脈拍が120以上になる場合は病的な頻脈が疑われます。

動脈硬化

動脈硬化心臓から送り出された血液を全身に運び、酸素や栄養を供給する役割を担う重要な血管が動脈です。健康な動脈は弾力がありますが、加齢や高血圧などによって太く硬くなると、動脈硬化と呼ばれます。
粥状(アテローム)動脈硬化症は動脈硬化の一種で、大動脈などの太い動脈に粥腫が形成された状態です。悪玉(LDL)コレステロールが動脈の内膜に入り込んでプラークという粥状物質が蓄積すると、血管が狭くなって臓器への酸素供給が低下し狭心症などに繋がります。また、プラークが破裂して血栓になると脳梗塞などの発症リスクも生じます。

狭心症

狭心症狭心症には、運動時に胸痛が起こる労作狭心症と、夜間や早朝の安静時に胸痛が起こる冠攣縮狭心症の2種類があります。
労作狭心症は、動脈硬化により心臓に血液を送る血管(冠動脈)が狭くなって起こります。
冠動脈痙攣狭心症は「異型狭心症」とも呼ばれ、夜間や早朝など睡眠中に冠動脈が痙攣を起こし、それによって胸痛が引き起こされます。

心筋症

心筋症はもともと正常だった心筋が厚くなったり、薄くなったり、膨らみにくくなることで様々な心臓の障害が出現します。大きく分けると3つの心筋症に分けられます。

  • 拡張型心筋症:だんだんと心臓の収縮力が弱くなり、心拡大や心臓の壁が薄くなっていきます。
  • 肥大型心筋症:心臓の壁が厚くなり、不整脈が出やすくなったり、息切れやむくみなどの心不全症状がでることもあります。
  • 拘束型心筋症:心臓の収縮は問題ないことが多いものの、拡張(ふくらみ易さ)が高度に制限されるようになっていきます。

このほかにも二次性心筋症としてアミロイドーシスやサルコイドーシス、Fabry病など全身に起こる病気のなかで心臓も障害される疾患もあります。


心電図検査異常を指摘された方の再検査

安静時の心電図検査で狭心症や不整脈が疑われた場合、運動負荷心電図で運動しながら心電図を記録する方法や、ホルター心電図で24時間心電図を記録する方法などで、発作時の状況を調べます。

ホルター心電図

ホルター心電図は、胸部に複数の電極を装着し、腰に記録装置を装着するタイプです。検査するには当院に2日間連続で来院していただく形となります。24時間心電図を装着してその間の心電図の変化を調べます。当院ではすぐに初期解析を行いますので、明らかな異常につきましてはその場でお伝えすることができます(詳細な解析には2週間程度お時間を頂きます)。食事や運動、仕事、車の運転、スマートフォンの使用などは特に制限はありませんが、シャワーやお風呂は検査中できませんのでご了承ください。

心臓超音波検査
(心エコー)

心臓超音波検査心臓の大きさや心臓の壁の厚さ、弁膜症、動きなどを調べるには、心電図よりも心臓超音波検査が有用です。

運動負荷心電図
(トレッドミル負荷試験)

スポーツクラブなどで使用するベルトコンベアを用いて運動しながら心電図を記録します。運動時の症状や心電図を医師立ち合いのもとで記録していきます。必要であれば連携病院にご紹介させていただきます。


心電図に異常がないのに
息切れする原因は?

心電図に異常がないのに息苦しさを感じる場合は、以下の要因が疑われます。

  • 不安神経症やストレスなど精神的な不調
  • 自律神経のバランスが崩れている(自律神経失調症)
  • 感染症や気管・咽頭の狭窄などの気道の問題

自律神経失調症とは正式な医学用語ではなく、めまい、手足が冷える、火照る、動悸、眠れないなどの状態を指す一般的な言葉です。自律神経のバランスが崩れやすい方や、ストレスをため込みすぎる方に発症しやすいと考えられています。薬物療法やカウンセリングなどが主な治療法となります。

息切れ