健康診断で「要再検査」「要精密検査」といわれたら
「要再検査」は検査で異常値が検出され、さらに確認が必要な場合に通知されます。
「要精密検査」は検査で検出された異常値の原因を特定し、治療が必要かどうかを判断する必要がある場合に通知されます。
自覚症状がなかったり、忙しかったりするとそのままにしていることも多いかもしれませんが、ご自身の健康維持のためにも医療機関を受診してください。
健康診断で異常を指摘されたら医療機関を受診しましょう。
再検査や精密検査は強制ではありませんし、再検査で異常なしとなることもあります。しかし、生活習慣病などの病気を早期に発見する良い機会でもあります。
当院では、ほとんどの異常(聴力や視力など一部を除く)に対応可能ですので、お気軽にご相談ください。
健康診断結果の見方
健康診断では、「異常なし」「要経過観察」「要精密検査」「要治療」の判定や、ローマ字で「C判定」「D判定」などが出されます。それぞれ意味をよく理解して、適切な対応を行いましょう。
異常なし 「A判定」「B判定」
検査結果が正常範囲内であったことを示すもので、心配は特にありません。
要経過観察・要再検査「C判定」
正常範囲を逸脱しているため、数ヶ月~1年後に再検査が必要ですが、急を要するものではありません。生活習慣の改善などに努めることで正常範囲に戻り、悪化を予防することができます。当院では、個人に合わせたきめ細かいアドバイスや、無理のない範囲での改善方法をお伝えしていますので、お気軽にご相談ください。
要精密検査「D判定」
さらに詳しい検査が必要ですが、精密検査の結果、異常なしとなる可能性もあります。精密検査では、健康診断だけではわからない病気などを徹底的に調べることができます。「要精密検査」の判定が出たら、必ず精密検査を受けてください。
要治療「E判定」
すでに治療が必要な異常値が認められたことを意味します。速やかに受診し、正確な診断を受け、最適な治療法を相談してください。
要再検査や精密検査を受けるタイミング
「要再検査」「要精密検査」「E判定」などの判定結果が出た場合、健診結果の総合判定欄に「生活習慣に注意して3ヶ月後に再検査を受けてください」「精密検査が必要です。早急に検査を受けてください」など、検査を受けるタイミングが示されます。
ご不明点があれば、健診を受けた医療機関にお問い合わせください。
健康診断で指摘されることの多い項目と病気
脂質代謝
中性脂肪
中性脂肪は皮下脂肪の主成分ですが、炭水化物やアルコールの過剰摂取により増加し、動脈硬化の原因となります。
結果から疑われる病気
値が高い場合:脂肪肝、脂質異常症、動脈硬化症、甲状腺機能低下症など
値が低い場合:甲状腺機能亢進症、低栄養状態など
再検査を受ける場合の診療科
内科
日常生活で気をつけること
- 適正な体重を維持する
- 適度な飲酒量(1日1合:180mlまで)
- 適度な運動を習慣づける
- 脂肪と糖分の摂取を控える
HDLコレステロール
血管壁に蓄積したLDL(悪玉)コレステロールを肝臓に運び、処理する機能がHDLコレステロールにはあります。この機能により、動脈硬化を防止しています。
結果から疑われる病気
HDLコレステロール値が低い場合:動脈硬化症、脂質異常症など
再検査を受ける場合の診療科
日常生活で気をつけること
- 有酸素運動を習慣づける
- 禁煙
LDLコレステロール
LDLコレステロールは、動脈硬化に悪影響を及ぼすコレステロールと考えられています。
結果から疑われる病気
値が高い場合:動脈硬化症・脂質異常症・甲状腺機能低下症・脂肪肝など
値が低い場合:低栄養状態・甲状腺機能亢進症など
再検査を受ける場合の診療科
内科
日常生活で気をつけること
- 適度な運動を習慣づける
- 食生活の改善(油の種類を検討する、食物繊維や野菜を積極的に摂るなど)
non-HDLコレステロール
血中脂質が脳血管疾患や心血管疾患を引き起こした場合、これらの病気の発症を予測する基準となります。
総コレステロール
肝臓の病気や栄養障害により、総コレステロール値は低下します。逆に、総コレステロール値が上昇すると、動脈硬化や心筋梗塞を発症するリスクが高まります。
結果から疑われる病気
値が高い場合:動脈硬化症・脂質異常症・甲状腺機能低下症・脂肪肝など
値が低い場合:肝硬変・甲状腺機能亢進症など
再検査を受ける場合の診療科
内科
糖代謝
血糖
血糖値は食後に高くなり、その後徐々に低下するのが特徴です。高血糖は糖尿病の可能性を示している場合があります。検査はできるだけ空腹時に受けるようにしてください。
結果から疑われる病気
値が高い場合:糖尿病・慢性膵炎など
値が低い場合:下垂体機能低下症、甲状腺機能亢進症など
再検査を受ける場合の診療科
内科
日常生活で気をつけること
- 糖尿病を予防するために適正な体重を維持する
- 食生活の改善(野菜を最初に食べる、間食は1日200キロカロリーまで、夜9時以降は飲食をしないなど)
- 適度な運動を習慣づける(食後に軽い運動をするなど)
- 脂肪と糖分の摂取量を制限する
HbA1c(NGSP)
糖尿病により数値が増加するため、過去1~2ヶ月の血糖値が参考値として用いられます。
結果から疑われる病気
値が高い場合:腎不全、糖尿病など
値が低い場合:肝硬変、溶血性貧血など
再検査を受ける場合の診療科
内科
日常生活で気をつけること
- 糖尿病を予防するために適正な体重を維持する
- 食生活の改善(野菜を最初に食べる、間食は1日200キロカロリーまで、夜9時以降は飲食をしないなど)
- 適度な運動を習慣づける(食後に軽い運動をするなど)
- 脂肪と糖分の摂取量を制限する
尿糖
血液中の余分な糖が尿中に排出されます。糖尿病の診断基準のひとつです。
結果から疑われる病気
糖尿病、糖尿病性腎症など
再検査を受ける場合の診療科
内科
日常生活で気をつけること
- 糖尿病を予防するために適正な体重を維持する
- 食生活の改善(野菜を最初に食べる、間食は1日200キロカロリーまで、夜9時以降は飲食をしないなど)
- 適度な運動を習慣づける(食後に軽い運動をするなど)
- 脂肪と糖分の摂取量を制限する
肝機能
AST(GOT)
骨格筋や心筋、肝臓、腎臓などに含まれる酵素です。心筋梗塞や肝障害が起こると数値が上昇します。
結果から疑われる病気
値が高い場合:心筋梗塞、肝障害など
再検査を受ける場合の診療科
内科
ALT(GPT)
肝臓に最も分布する酵素であり、ASTと組み合わせることで肝機能を評価することができます
結果から疑われる病気
値が高い場合:肝障害など
再検査を受ける場合の診療科
内科
γ-GTP
アルコールに強く反応し、飲酒や薬剤による肝障害、脂肪肝、胆道系の異常があると値が高くなります。
結果から疑われる病気
値が高い場合:アルコール性肝障害、肝硬変、脂肪肝、慢性肝炎など
再検査を受ける場合の診療科
内科
日常生活で気をつけること
適度な酒量を心がけますが、禁酒が最も効果的です。
貧血・血球
赤血球
赤血球は全身に酸素を運ぶ役割をしていますが、その数が減ると貧血になります。また、栄養過多でも増えることがあります。
結果から疑われる病気
値が高い場合:多血症など
値が低い場合:鉄欠乏性貧血、再生不良性貧血など
再検査を受ける場合の診療科
内科
日常生活で気をつけること
- 鉄欠乏性貧血の場合は、鉄分の多い食品を積極的に摂る
- タンパク質や、野菜・果物など、鉄の吸収を高めるビタミンCを含む食品を積極的に摂る
血色素
血色素は、赤血球の中にある色素(ヘモグロビン)です。全身に酸素を運ぶ役割をしており、鉄が不足すると血色素が減少します。
検査結果から疑われる病気
値が高い場合:多血症など
値が低い場合:鉄欠乏性貧血、再生不良性貧血など
再検査を受ける場合の診療科
内科
日常生活で気をつけること
- 鉄欠乏性貧血の場合は、鉄分の多い食品を積極的に摂る
- タンパク質や、野菜・果物など、鉄の吸収を高めるビタミンCを含む食品を積極的に摂る
血清鉄
血液中の鉄の量を測定する検査です。
結果から疑われる病気
値が高い場合:再生不良性貧血、急性肝炎など
値が低い場合:鉄欠乏性貧血、がん、感染症などによる貧血
再検査を受ける場合の診療科
内科
日常生活で気をつけること
- 鉄欠乏性貧血の場合は、鉄分の多い食品を積極的に摂る
- タンパク質や、野菜・果物など、鉄の吸収を高めるビタミンCを含む食品を積極的に摂る
白血球
体内に侵入した細菌や異物を排除して処理する働きをします。肺炎や虫垂炎などの感染症にかかると、白血球が増加します。
結果から疑われる病気
値が高い場合:肺炎や腹膜炎などの細菌感染症、がん、白血病、心筋梗塞、膠原病など
値が低い場合:ウイルス感染、再生不良性貧血など
再検査を受ける場合の診療科
内科
血小板
血液疾患や慢性肝疾患などで減少することがあります。止血の作用により重要な機能を果たしています。
結果から疑われる病気
値が高い場合:出血、慢性骨髄性白血病、血小板血症、鉄欠乏性貧血など
値が低い場合:肝硬変、急性骨髄性白血病、特発性血小板減少性紫斑病など
再検査を受ける場合の診療科
内科
腎機能
血小板
血液疾患や慢性肝疾患などで減少することがあります。止血の作用により重要な機能を果たしています。
結果から疑われる病気
値が高い場合:出血、血小板増加症、鉄欠乏性貧血、慢性骨髄性白血病など
値が低い場合:肝硬変、急性白血病、特発性血小板減少性紫斑病など
再検査を受ける場合の診療科
内科
尿潜血
腎臓・尿管・膀胱など尿路の出血の有無を調べます。尿路に潜む病気の発見に役立ちます。
結果から疑われる病気
陽性の場合:膀胱炎、尿路結石、尿路腫瘍、糸球体腎炎など
再検査を受ける場合の診療科
内科、泌尿器科
クレアチニン
クレアチニンは腎臓でつくられ、腎機能が低下して排泄量が減ると血液中のクレアチニン量が増えます。
結果から疑われる病気
値が高い場合:腎機能障害、腎炎など
値が低い場合:妊娠、筋ジストロフィーなど
再検査を受ける場合の診療科
内科、泌尿器科
尿素窒素
クレアチニンとともに腎機能の指標となるもので、通常は腎臓から排出されます。
腎機能が低下すると排出量が減少し、血液中の尿素窒素の量が増えます。
結果から疑われる病気
値が高い場合:高タンパク食、脱水、腎機能障害、消化管出血など
値が低い場合:妊娠、栄養不良など
再検査を受ける場合の診療科
内科、泌尿器科
e-GFR(糸球体濾過値)
e-GFRは血清クレアチニン値、性別、年齢から算出されます。腎臓から尿中に老廃物を排泄する能力の程度を示します。腎機能が低下すると、e-GFRの値も減少します。
結果から疑われる病気
値が低い場合:糖尿病性腎症、慢性腎臓病(CKD)、慢性糸球体腎炎など
再検査を受ける場合の診療科
内科、泌尿器科
甲状腺
TSH、freeT3、free T4
甲状腺ホルモンおよび甲状腺刺激ホルモンなどの甲状腺機能の検査です。の分泌を促進して甲状腺機能を調べる検査です。
結果から疑われる病気
異常がある場合:肝硬変、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、腎不全、下垂体腫瘍など
再検査を受ける場合の診療科
内科、特に内分泌内科
膵機能
血清アミラーゼ
血清アミラーゼは、膵臓や唾液腺などで主に分泌される消化酵素のひとつです。
膵臓や唾液腺に異常が生じると、血液中や尿中のアミラーゼの量が増えます。
結果から疑われる病気
値が高い場合:腎不全、膵臓がん、膵炎、耳下腺炎など
値が低い場合:慢性膵炎、進行した膵臓がんなど
再検査を受ける場合の診療科
内科、特に消化器内科
炎症
CRP
体内で炎症が起こると血液中にCRPが増加します。炎症の有無を調べる検査です。
結果から疑われる病気
値が高い場合:細菌感染、ウイルス感染、心筋梗塞、がん、関節リウマチ、リウマチ熱など
再検査を受ける場合の診療科
内科
循環器
血圧
血圧とは、心臓から全身に血液を送り出す際に血管壁にかかる圧力のことです。
高血圧の状態が長く続くと、心臓や血管に負担がかかり、血管の損傷を招きます。
結果から疑われる病気
値が高い場合:高血圧、腎臓・内分泌疾患、動脈硬化など
値が低い場合:低血圧、心不全、大出血など
再検査を受ける場合の診療科
内科、特に循環器内科
日常生活で気をつけること
- 高血圧の方は定期的に血圧を測定する
- 禁煙する
- 塩分摂取量を減らす
- 健康的な体重を維持する
心電図検査
電極を胸部、手首、足首に取り付け、心臓から伝わる微弱な電流を記録します。
結果から疑われる病気
不整脈、心筋梗塞、心肥大、狭心症など
再検査を受ける場合の診療科
循環器内科
血圧脈波検査
両手両足首の血圧を同時に測定する検査です。この検査では、下肢の動脈の詰まりや動脈壁の硬さが確認できます。
結果から疑われる病気
下肢閉塞性動脈硬化症、動脈硬化症(狭心症や脳梗塞など)のリスク評価
再検査を受ける場合の診療科
循環器内科
頸動脈超音波
超音波診断装置で、頸動脈の狭窄、血管壁の硬化、脳梗塞の原因となるプラークの有無を調べます。
結果から疑われる病気
動脈硬化症
再検査を受ける場合の診療科
循環器内科、脳神経外科
胸部
胸部X線直接撮影
心臓の病気だけでなく、肺がん、肺炎、結核などの肺の病気の有無を調べることができます。
検査結果から疑われる病気
肺炎、肺がん、肺結核、大動脈瘤など
再検査を受ける場合の診療科
内科、特に呼吸器内科
胸部マルチスライスCT
肺がんなど、より詳しい検査が必要な病気の検査に用います。当院では、CT検査が必要な場合、連携する医療機関をご紹介いたします。
喀痰細胞診
顕微鏡で痰の細胞成分を観察することで、がん細胞の有無を調べます。
結果から疑われる病気
肺炎、肺がん、肺結核など
再検査を受ける場合の診療科
呼吸器内科
その他の検査項目
尿酸
尿酸はプリン体から分解されてできる物質で、腎臓の機能を障害する原因となります。プリン体を摂りすぎると尿酸値が上昇し、放置すると痛風発作を発症します。
結果から疑われる病気
値が高い場合:痛風、白血病、腎不全、高尿酸血症など
再検査を受ける場合の診療科
内科
日常生活で気をつけること
- 水分を十分に摂る
- 飲酒量や糖質の摂り過ぎに気をつける
- プリン体の摂り過ぎに気をつける
腹部超音波検査
超音波診断装置で肝臓、胆嚢、腎臓、膵臓、脾臓などの臓器を調べます。
結果から疑われる病気
各臓器のがん、ポリープ、結石、嚢胞など
再検査を受ける場合の診療科
内科