脂質異常症とは、血液中の脂質が正常値を超えている状態を指します。脂質異常症は、主に高コレステロール血症や高トリグリセリド血症として知られています。高コレステロール血症は、低密度リポタンパク質(LDL、いわゆる悪玉)コレステロールが高い状態を指し、動脈硬化や心血管疾患を引き起こすリスクがあります。一方、高トリグリセリド(TG)血症は、トリグリセリドが高い状態を指し、500以上では膵炎や肝機能障害を引き起こすリスクがあります。
脂質異常症の原因は、複数の要因が絡み合って発症することが多いです。遺伝的要因や生活習慣、病気などがリスク要因として挙げられます。高コレステロール血症の主な原因は、食生活の乱れや運動不足、肥満、ストレスなどの生活習慣によるものが多く見られます。一方、高トリグリセリド血症の主な原因は、アルコールの過剰摂取や肝臓疾患、糖尿病、膵炎などの病気が関係しています。
脂質異常症を診断するためには、血液検査が必要です。血液検査で測定される項目としては、総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、トリグリセリドなどがあります。また、生活習慣や家族歴、病歴などの情報も収集し、それらを総合的に判断することで、脂質異常症の診断を行います。
脂質異常症の治療には、薬物療法と生活習慣改善があります。薬物療法は、コレステロールを下げる薬剤(スタチンやフィブラートなど)を用いて、脂質値を目標値まで下げていくことが目的です。目標値は年齢やほかの生活習慣病、今までの動脈硬化の病気(心筋梗塞や脳梗塞の有無)などで一人一人目標値は異なります。生活習慣改善では、運動や食事の改善、禁煙などが挙げられます。これらの取り組みによって、脂質異常症を改善し、心臓病や脳卒中などの合併症を予防することができます。
患者様一人ひとりの背景により脂質異常症の目標値(特にLDLコレステロール)が異なります。まず、個人ごとに目標値を算出したうえで生活習慣の改善とともに必要に応じて脂質異常症の内服薬の導入を行います。薬の副作用や目標値に達しているか確認させていただくため、定期的な検査(血液検査や腹部超音波検査など)を提案させていただきます。脂質異常症を適切に治療を継続することで将来起こりうる心筋梗塞や脳卒中などを予防するのが当院の願いです。